「遺言執行者には弁護士になってほしい。でも、私が死んだことを誰も知らなければ、弁護士にも連絡が届かないのではないでしょうか」

身寄りのない方から、このようなご相談を受けることがあります。

遺言書を作成するだけでは、この問題を解決できません。

亡くなったことを誰が把握し、どのように遺言執行者へ伝えるのか。

生前から準備できる仕組みを、弁護士が解説します。

遺言執行者に弁護士を指定しても、死亡を知らなければ動けない

遺言執行者は、亡くなったことを自動的に知らされるわけではない

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために手続を進める人です。

遺言執行者とは?選任するメリット・選任方法をわかりやすく解説

府中・多摩地方で相続問題にお困りなら弁護士法人あさかぜ法律事務所へ 昨今は「終活」の一環として、遺言書を書く方も増えています。遺言書があるとスムーズに相続手続き…

預貯金の解約や不動産の名義変更、受遺者への財産の引渡しなどを担います。

ただし、遺言執行者が実際に手続を始めるには、遺言者が亡くなったことを把握する必要があります。

遺言執行者を指定しただけでは、役所や病院から死亡の連絡が自動的に届く仕組みにはなりません。

ご家族がいれば、通常はご家族から弁護士に連絡が入ります。

身寄りのない方の場合は、この「最初の連絡」をする人がいないことが問題になります。

遺言執行者の役割については、「遺言執行者とは?選任するメリット・選任方法」でも解説しています。

公正証書遺言を作成しても、公証役場から死亡の連絡は届かない

公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんを防ぎやすい方式です。

しかし、公証役場は遺言者の死亡を継続的に確認する機関ではありません。

そのため、公正証書遺言を作成しただけで、公証役場から遺言執行者へ死亡の連絡が届くことはありません。

公証役場には遺言の有無を調べる検索システムがあります。

ただし、これは遺言者の死亡を知った人などが照会して利用する仕組みです。

公正証書遺言を作成しただけでは、死亡を知らせる仕組みは整わないということです。

親族はいても、遺産を残さない相手に「死亡の連絡」は頼みにくい

身寄りがないと感じている方でも、甥や姪などの親族がいることがあります。

ただ、長年交流がなく、普段は連絡を取っていない場合もあります。

そのような方が、遺言によって親族以外の人や団体に財産を残したいと考えることもあります。

この場合、財産を残さない甥や姪に「私が亡くなったら、弁護士に連絡してほしい」とお願いするのは、心理的に難しいものです。

遺言の内容を、生前に親族へ知らせたくない場合もあるでしょう。

また、そのお願いのためだけに、疎遠になった親族と連絡を取り続けることも負担になります。

「親族がいること」と「死亡を知らせてくれる人がいること」は、必ずしも同じではありません。

なお、甥や姪が法律上の相続人となる場合、遺言執行者は任務を開始した後、遺言の内容を相続人に通知する必要があります。

しかし、これは遺言執行者から相続人への通知です。

相続人から遺言執行者へ死亡の連絡が届くことまで保証するものではありません。

親族に頼れない方にとって、遺言書の作成と同じくらい大切なこと

身寄りのない方だけでなく、親族がいても頼れない方にとって、遺言の内容を決めるだけでは十分とはいえません。

遺言執行者に死亡の連絡が届かなければ、遺言書の存在が確認されないまま時間が過ぎるおそれがあります。

その間、財産の承継手続は進まず、ご本人の希望が実現されない状態が続きます。

遺言書の作成と、死亡を知らせる仕組みづくりは、セットで考える必要があります。

親族に頼ることなく死亡の連絡を受けられる方法の一つが、次に紹介する法務局の「指定者通知」です。

法務局の「指定者通知」で死亡を知らせる仕組み

指定者通知とは?法務局が死亡を確認すると指定した人へ通知する制度

指定者通知は、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」に設けられている通知の仕組みです。

自筆証書遺言を法務局に預ける際に、通知を希望すると申し出ておきます。

法務局は、戸籍を扱う部署と連携して遺言者の死亡を確認します。

死亡が確認されると、あらかじめ指定された人に「遺言書が保管されている」旨の通知が届きます。

ご家族が手続をしなくても通知が送られる点が、身寄りのない方にとっての利点です。

この通知は、遺言者が希望した場合に行われます。

詳しくは、法務省「自筆証書遺言書保管制度・通知について」をご覧ください。

通知先は最大3名まで指定でき、遺言執行者も指定できる

通知先は、1人の遺言者につき3名まで指定できます。

2023年10月の運用変更により、相続人や受遺者以外の人も通知先に指定できるようになりました。

遺言執行者となる弁護士や弁護士法人を通知先にしておくことも可能です。

ここで注意したいのは、通知を受けた人が誰でも遺言書の内容を確認できるわけではないことです。

遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の請求ができるのは、相続人・受遺者・遺言執行者などに限られます。

そのため、遺言執行者を通知先に指定しておく方法が実務上有効です。

通知されるのは遺言書の保管場所などであり、遺言書の内容ではない

指定者通知で知らされるのは、遺言書が法務局に保管されているという事実です。

通知には、遺言書を保管している法務局の名称や保管番号などが記載されます。

遺言書の内容そのものが通知に書かれるわけではありません。

通知を受けた遺言執行者は、法務局で遺言書情報証明書を取得して内容を確認します。

法務局に保管された自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認が不要です。

そのため、検認手続を経ずに遺言執行を進めることができます。

指定者通知にも限界がある|死亡の発見や即時の連絡までは保証されない

指定者通知は、法務局が遺言者の死亡を確認した後に動く仕組みです。

法務局が遺言者の死亡を見つけ出してくれるわけではありません。

亡くなってから通知が届くまでには、一定の時間差が生じます。

また、身元が分からないまま亡くなった場合には、戸籍との連携によって死亡を確認できないおそれがあります。

この場合、指定者通知が届かないことも考えられます。

指定者通知は、死亡後の連絡を確保するための補完的な仕組みです。

生前の見守りや緊急連絡先の登録と組み合わせて利用することが大切です。

亡くなったことに早く気づいてもらうための生前の準備

見守りサービスを利用して、連絡が途絶えたことを把握する

一人暮らしの方にとって、心配なのは亡くなった後に長く気づかれないことです。

これを防ぐには、生前から定期的に安否を確認する仕組みが有効です。

弁護士などとの見守り契約では、契約内容に応じて定期的な電話や面談を行うことがあります。

連絡が取れなくなった際の対応方法も、契約で決めておくことができます。

電気やポットの使用状況から異変を知らせる民間の見守りサービスを利用する方法もあります。

サービスによっては、異変を知らせる連絡先に弁護士を登録できるものもあります。

ただし、誰に、どのような場合に連絡が届くのかは、サービスによって異なります。

安否確認の方法だけでなく、異常を検知した後の対応も確認しておきましょう。

また、判断能力が衰えた場合に備えて、任意後見契約を併せて結んでおく方法もあります。

任意後見受任者や任意後見人は、戸籍法上、死亡届を提出できる立場にもなります。

ただし、任意後見契約を結ぶだけで死亡を発見できるわけではありません。

緊急連絡先カードを携帯し、弁護士への連絡方法を残しておく

外出先で倒れたときや、自宅で亡くなったときには、救急隊や警察が関わることがあります。

救急隊や警察は、身元や連絡先を確かめるために所持品を確認することがあります。

財布やスマートフォンケースに、弁護士の連絡先を記したカードを入れておく方法があります。

カードには、事務所名や電話番号などを記載しておきます。

「緊急時には、こちらの弁護士事務所に連絡してください」と明記しておく方法もあります。

スマートフォンの緊急連絡先機能に、事務所の電話番号を登録しておくことも有効です。

自宅の冷蔵庫や玄関の内側など、目に付きやすい場所に連絡先を掲示しておく方法もあります。

ただし、カードや掲示物が必ず発見されるとは限りません。

他の連絡手段と組み合わせることが大切です。

病院・介護施設・賃貸住宅の管理会社などに連絡先を登録する

入院や施設入所の際には、緊急連絡先の記入を求められることがあります。

身寄りのない方は、あらかじめ相談のうえ、弁護士事務所を連絡先として登録する方法があります。

賃貸住宅にお住まいであれば、管理会社や大家さんに連絡先を伝えておくことも考えられます。

かかりつけ医やケアマネジャーにも同じ情報を伝えておくと、連絡の経路が増えます。

ただし、連絡先を登録しただけで、病院や管理会社に法律上の通知義務が生じるわけではありません。

弁護士事務所が連絡を受けることについても、事前の了承が必要です。

誰が異変に気づき、どこへ連絡するのかを具体的に決めておくことが大切です。

府中市で利用できる見守り・終活支援制度

高齢者救急通報システム|生活リズムセンサーで異変を検知

府中市では、一人暮らしの高齢者などを対象に「高齢者救急通報システム」を実施しています。

この制度では、緊急通報機器のほか、生活リズムセンサーを利用することもできます。

生活リズムセンサーは、長時間動きが確認できない場合に、委託事業者へ自動通報する仕組みです。

利用には年齢や健康状態などの条件があります。

詳しくは、府中市公式HP「高齢者救急通報システム」をご覧ください。

高齢者見守りネットワーク事業|地域で高齢者を見守る

府中市では「高齢者見守りネットワーク事業」も実施しています。

これは、地域住民などが高齢者の異変に気づいた場合に、地域包括支援センターへ連絡する仕組みです。

地域包括支援センターは、連絡を受けた高齢者の状況を確認し、必要な支援につなげます。

一人暮らしの方にとって、地域の人々が異変に気づくことも、安否確認のきっかけになります。

詳しくは、府中市「高齢者見守りネットワーク事業」をご覧ください。

未来ノート|医療・介護・死後の希望を書き残す

府中市は「未来ノート(私の生き方整理帳)」を公開しています。

このノートには、医療や介護、財産、葬儀などについての希望を記録できます。

遺言書の有無や、大切な人へのメッセージを書き残すこともできます。

また、緊急時に連絡してほしい人や、財産に関する情報を整理する際にも役立ちます。

ただし、未来ノートは法的な効力を持つ遺言書ではありません。

財産を誰に残すかについては、別途、法律で定められた方式に従って遺言書を作成する必要があります。

詳しくは、府中市「未来ノート(私の生き方整理帳)」をご覧ください。

自治体の制度だけでは弁護士への死亡通知は保証されない

これらの制度は、高齢者の見守りや、将来に備えた情報の整理に役立ちます。

しかし、未来ノートは、自治体が死亡を確認して弁護士に通知する制度ではありません。

救急通報システムや見守りネットワークについても、遺言執行者への死亡通知が自動的に行われるわけではありません。

「亡くなったことを誰かが発見する仕組み」と「その情報を遺言執行者に届ける仕組み」は別のものです。

こうした制度を利用しながら、弁護士への連絡方法も生前に準備しておくことが大切です。

亡くなった後の手続を任せる「死後事務委任契約」

遺言執行者の仕事と、死後事務を行う人の仕事は異なる

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な手続を行います。

一方、亡くなった直後には、遺言執行とは別の事務が発生します。

例えば、遺体の引取りや葬儀、火葬などの手続です。

これらは、遺言執行者に指定されたことだけで当然に処理できるものではありません。

ご家族がいれば、ご家族が対応するのが一般的です。

身寄りのない方の場合は、これらを担う人をあらかじめ決めておく必要があります。

そのために利用されるのが、死後事務委任契約です。

死後事務委任契約とは、亡くなった後に必要となる事務を、生前に第三者へ依頼しておく契約です。

通常の委任契約は、委任者の死亡によって終了するのが原則です(民法653条1号)。

しかし、最高裁判所は、死亡後の事務を委任した契約について、委任者の死亡によっても契約を終了させない旨の合意が有効であると判断しています(最高裁平成4年9月22日判決)。

葬儀・火葬・納骨・住居の整理などを生前に依頼しておく

死後事務委任契約では、亡くなった後に必要となる事務を具体的に定めます。

例えば、葬儀や火葬の手配を依頼することが考えられます。

納骨や永代供養についての希望を残すこともできます。

病院や施設の利用料の精算について定める場合もあります。

公共料金や携帯電話の解約について定める場合もあります。

また、賃貸住宅に住んでいる方は、賃貸借契約の解除や家財の整理について検討しておく必要があります。

ただし、賃貸借契約の解除や家財の処分は、相続人の権利にも関わります。

そのため、どの範囲を任せるのかを、生前に契約書で具体的に定めておく必要があります。

家財を処分する場合には、処分方法や処分時期についても取り決めておきます。

国土交通省と法務省は、賃借人が亡くなった場合の残置物の処理について、モデル契約条項を公表しています。

参考:国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」

なお、死亡届を提出できる人は戸籍法で定められています。

死後事務委任契約を締結しただけで、当然に死亡届の届出資格を取得するわけではありません。

遺言執行者と死後事務の受任者を同じ弁護士などにしておく方法もあります。

この場合には、遺言執行と死後事務の役割を分けて契約内容を整理することが大切です。

死後事務の費用や預託金をどのように準備するか

死後事務には、葬儀費用や家財の整理費用などが必要になります。

亡くなった後は、金融機関が死亡を把握すると、本人名義の預金口座からの払戻しが制限されることがあります。

そのため、死後事務の費用を生前に預託金として準備しておく方法があります。

預託金を預ける場合には、他の財産と区別して管理する必要があります。

契約書には、費用の見積もりや精算方法を定めておきます。

使用しなかったお金の帰属先についても整理しておく必要があります。

遺言書の内容と死後事務委任契約の内容が矛盾しないようにしておくことも大切です。

身寄りのない方が遺言書で決めておきたいこと

「身寄りがない」と「法律上の相続人がいない」は同じではない

日頃の付き合いがなくても、法律上の相続人がいる場合があります。

例えば、疎遠になっている兄弟姉妹が相続人になることがあります。

また、父または母の一方だけが同じ異母兄弟・異父兄弟がいる場合もあります。

兄弟姉妹が既に亡くなっている場合には、その子である甥や姪が代襲相続人になることもあります。

こうした親族の存在を、ご本人が把握していないこともあります。

そのため、法律上の相続人がいるかどうかは、戸籍を調査して確認する必要があります。

兄弟姉妹や甥・姪には、法律上、遺留分が認められていません。

そのため、兄弟姉妹や甥・姪だけが相続人となる場合には、遺言によって財産を他の人や団体に残すことができます。

相続トラブルを防ぐ遺言書:複雑な家族関係でも安心の遺言作成サポート完全ガイド

遺言をつくる|相続人となりうる方が複数いらっしゃる場合又は相続人となりうる方がいらっしゃらない場合、遺言作成をご検討されてはいかがでしょうか。府中市 多摩地区の…

一方、法律上の相続人が誰もいない場合には、相続財産の取扱いが通常の相続とは異なります。

遺言などによる財産の承継がなければ、相続財産の清算や特別縁故者への財産分与などの手続が問題になります。

【府中市・多摩地方版】相続人がいない場合  遺言のすすめと特別縁故者への該当性

1 はじめに 亡くなった人に相続人が存在しない場合、その財産はどうなるのでしょうか。昨今では事実婚のパートナー(内縁の配偶者)が財産を譲り受ける方法としても、特…

こうした手続を経ても残った財産は、最終的に国庫へ帰属します。

まずは、ご自身の相続人が誰になるのかを確認することが、遺言作成の出発点です。

詳しくは、「相続人がいない場合|遺言のすすめと特別縁故者への該当性」でも解説しています。

お世話になった人や団体に財産を残す遺贈という方法

遺言によって、相続人以外の人に財産を残すことを遺贈といいます。

生前にお世話になった友人や知人に財産を残すことができます。

社会福祉法人や公益団体などに財産を遺贈することも可能です。

団体に遺贈する場合には、受入れの可否や条件を事前に確認しておくことが大切です。

不動産などは、団体によって受入れを断られる場合があります。

そのため、必要に応じて不動産を換価し、現金を遺贈する方法も検討します。

預貯金・不動産・残余財産の行き先まで決めておく

身寄りのない方の遺言では、財産の書き漏らしに注意が必要です。

遺言に書かれていない財産があると、その財産について別の手続が必要になることがあります。

法律上の相続人がいない場合には、相続財産清算人の選任が必要になることもあります。

預貯金や不動産を個別に指定するだけでなく、「その他一切の財産」の行き先も決めておく方法があります。

財産の全部や一定割合を遺贈する包括遺贈という方法もあります。

どのような遺言が適しているかは、財産の内容や遺贈先によって異なります。

詳しくは、「相続トラブルを防ぐ遺言書作成ガイド」をご覧ください。

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遺言執行者には弁護士個人だけでなく弁護士法人を指定する方法もある

遺言執行者には、個人だけでなく法人を指定することもできます。

遺言書の作成から亡くなるまでに、長い年月が経つことは珍しくありません。

弁護士個人を指定した場合には、その弁護士が先に亡くなる可能性があります。

担当弁護士が引退することも考えられます。

弁護士法人を指定する方法は、こうした担当者の変更に備える選択肢になります。

法人が存続し、受任体制が維持されていれば、担当弁護士が交代しても法人として対応することができます。

ただし、法人の指定によって将来の遺言執行が無条件に保証されるわけではありません。

予備的な遺言執行者の指定も含めて検討することが大切です。

公正証書遺言と法務局保管の自筆証書遺言、どちらが適している?

公正証書遺言は作成時の公証人の関与がある一方、指定者通知は利用できない

公正証書遺言は、公証人が本人の意思を確認しながら作成する遺言です。

方式の不備によって無効になるリスクを抑えやすいという利点があります。

原本は公証役場で保管されます。

一方、公正証書遺言には、法務局の指定者通知と同じ仕組みはありません。

そのため、見守りサービスや緊急連絡先の登録などによって、死亡を知らせる体制を別に整える必要があります。

法務局保管の自筆証書遺言は指定者通知を利用できる

自筆証書遺言を法務局に預けると、指定者通知を利用できます。

法務局が遺言書の原本と画像データを保管するため、紛失や改ざんを防ぐことにもつながります。

家庭裁判所での検認手続が不要になる点も利点です。

保管の申請手数料は、遺言書1通につき3,900円です。

ただし、法務局は遺言内容の法的な有効性まで審査するわけではありません。

そのため、遺言書の内容については、弁護士に確認してもらう方法があります。

遺言の方式と死亡を知らせる仕組みは、分けて検討する

公正証書遺言にも、自筆証書遺言にも、それぞれ利点があります。

遺言書の方式は、財産の内容やご本人の健康状態などを踏まえて選びます。

一方、死亡を知らせる仕組みは、見守りサービスや連絡先の登録などで補います。

遺言の方式と死亡を知らせる仕組みを分けて考えることで、ご本人に合った組み合わせを検討できます。

なお、2026年6月17日に遺言制度を見直す改正法が成立し、同月24日に公布されました。

自筆証書遺言の押印を任意とする見直しは、公布から1年以内に施行される予定です。

また、新しい遺言方式である「保管証書遺言」の創設は、公布から3年以内に施行される予定です。

それぞれの施行日は政令で定められます。

実際に遺言を作成する際には、その時点で施行されている制度を確認する必要があります。

よくある質問|身寄りのない方の遺言と死亡後の手続

遠方に親族がいても、弁護士を遺言執行者に指定できますか?

はい、指定できます。

遺言執行者は、親族がいるかどうかにかかわらず、遺言で指定できます。

親族が遠方に住んでいる場合や、疎遠になっている場合にも、弁護士を指定することができます。

親族が相続人になる場合には、遺言執行者から相続人へ遺言の内容を通知する必要があります。

一人暮らしで自宅で亡くなった場合、誰が発見してくれますか?

何も準備をしていなければ、発見が遅れるおそれがあります。

定期的な見守りサービスを利用すれば、連絡が途絶えたことなどをきっかけに異常を把握できる場合があります。

府中市の高齢者救急通報システムのように、生活リズムセンサーを利用できる制度もあります。

ただし、異常を検知することと、死亡を確認することは別の問題です。

安否確認を誰が行い、その結果を誰に知らせるのかまで決めておくことが大切です。

任意後見契約も結んでおく必要がありますか?

必ず必要というわけではありません。

任意後見契約は、将来、判断能力が不十分になった場合に備える制度です。

ご自身で財産を管理することが難しくなった場合に、あらかじめ選んだ人に必要な支援をしてもらうことができます。

任意後見受任者や任意後見人は、死亡届を提出できる立場にもなります。

ただし、任意後見契約そのものは、死亡を発見するための制度ではありません。

見守りサービスや死後事務委任契約とは、それぞれの役割を分けて検討する必要があります。

遺言執行者に指定した弁護士が先に亡くなった場合はどうなりますか?

指定した弁護士が遺言者より先に亡くなった場合には、その弁護士が遺言執行者に就任することはできません。

他に遺言執行者がいなければ、利害関係人が家庭裁判所へ選任を申し立てる方法があります。

ただし、身寄りのない方の場合には、申立てをする人が見つからない可能性もあります。

そのため、遺言執行者を弁護士法人に指定する方法が考えられます。

予備的な遺言執行者を指定しておく方法もあります。

身寄りのない方の遺言作成は、あさかぜ法律事務所へご相談ください

遺言の内容だけでなく、死亡後に誰へ連絡するかも一緒に考えます

身寄りのない方の遺言では、遺言書の内容と同じくらい、死亡を知らせる仕組みが大切です。

当事務所では、遺言書の作成だけでなく、亡くなったことを遺言執行者に知らせる方法についてもご相談いただけます。

遺言執行者には、弁護士個人だけでなく、弁護士法人を指定する方法もあります。

ご本人の希望を伺いながら、適切な方法を一緒に検討します。

ご本人の生活状況に応じて、必要な契約と連絡体制を整理します

一人暮らしか、施設に入居しているかによって、必要な準備は異なります。

既に見守りサービスを利用しているかどうかによっても、検討する内容は変わります。

財産の内容や、財産を残したい相手によっても、遺言の書き方は変わります。

当事務所では、ご本人の生活状況やご希望を丁寧にうかがいます。

そのうえで、必要な連絡体制や契約について一緒に検討します。

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一つずつ整理しながら、ご本人の希望に合った準備を考えていきましょう。

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